【 最終話 】 感動のヒマラヤトレッキング ~ 忘れぬ感動、僕は銀河の塵 ~

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ヒマラヤトレッキング

 

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人生で最も感動した景色

満天の星空、感動を超越した涙の瞬間

朝陽に赤く染まった、幻想的なアンナプルナ

思い知らされた、果てしなく小さい己の存在

帰路。孤独の中、自分と向き合い出した答えとは――。

(前記事:【 到達 】 感動のヒマラヤトレッキング ~ 朝陽に輝くレッドアンナプルナ ~

 

 


 

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なんて、小さい存在なんだろう――。

 

僕は、人生で最も感動した景色を背に、下山に向かった。

この壮大すぎる自然は、恐らく人間が生まれる前から存在し、人間が絶滅しようとも

なにも動じることなく、息づいているんだろうな。

そう思うと、その絶大さに、人間と自然の共存という言葉がおこがましく感じた。

人間はちっぽけだ。

そのちっぽけな数十億の中で僕という1人の人間は、銀河に浮かぶ塵のようなものだ。

 

 

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この1週間のトレッキングで、旅後に自分が何をして生きていくかを決める、なんて目標は

あの感動を味わってから、いつの間にか塵となって吹き飛んでしまった。

 

 

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残っていたのは、あのような感動の瞬間を、この小さな小さな人生の中で、もっと味わいたい。

それだけだったのだ。

この頃からかもしれない、次の野望が生まれたのは。

 

 

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自分がやりたいことの答えなんか、今は出さなくていいんじゃないか。

結局それが、この1週間で出した答えだった。

焦って旅後の自分の道を決めつける必要は無い。

そのかわりに、旅の中でやりたいと思ったことは、やる。

 

 

その自分の未来への焦燥と、楽観的な感情が、

旅の時間が経つにつれてその曖昧な感情は変化しながら、孤独の奥底で衝突し合うことになるのだ。

 

 

この旅は、自分探しなんてものでは無い。人生の答えを探して旅をしているわけでもない。

人生の答えなど正解など関係なく、理由も無く世界中を彷徨う最高の贅沢なのだ。

そしてそれを選んだ僕の人生そのものだ。

 

 

ヒマラヤ街道を歩きながら、いろんな思いを、この旅で感じたことを、整理していた。

 

 

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4日かけて登ってきたから、3日ぐらいか。

帰路は、少し遠回りになるが、違うルートを選んだ。

飽きない風景がどこまでも続いている。

 

 

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黒い山影は、いまだに苦手だ。

自転車で日本一周中、岩手の林道近くにテントを張ったとき、外から熊の足音が近付いてきたことがある。

真っ暗闇の中、どこにいるか見えない熊の存在に怯えながら朝まで枯れ木を拾っては火を焚いていた。

山影を見ると、熊が近くにいそうな気がして、怖いのだ。

 

 

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実は下山中に、ちょっとした事件があった。

 

 

「なんか、軽いな。」

 

 

ギョッとした。首からかけていたはずの一眼レフがない!!!

立ち止まって記憶を辿ると、上着を脱いで休憩していたときに一眼レフを一旦どこかに

置いた気がした。待てよ、、となると1時間半以上前だぞ。

とっさに、近くにいた登山ガイドを見つけてバッグパックをすべて預けて次の街まで

運んでもらうことにした。荷物を知らない人に預けるなど、一種の賭けではあるが。

僕は標高3000mの山中を猛ダッシュで駆け巡った。

 

 

もう何十人もあそこを通ってるはずだ。

現地人のポーター(運び屋)が見つけたら盗むに違いない。

反対側からくる人に、

 

 

「カメラを見なかったか?」

 

 

と聞きながら死ぬほど走った。

もし誰かの手に渡ってしまったら、あの人生で一番感動した絶景のデータが消えてしまう!

あまりのダッシュに、抜かされた人はトレイルランニングと勘違いし、

 

 

「フォー!ワンダフォー!!!」

「ワオ!アメイジング!」

 

 

と拍手をしながら老人たちが叫んでいた。

実際、MAPで見ると2時間と書いてあるコースを30分で駆け抜けていた。

定かではないが、恐らく置いた場所にもカメラは無い。

 

 

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最寄りの街まで戻って、ポーターやガイドに必死の形相で声をかけ聞いてみると

どうやら、赤いズボンをはいたポーターが次の街まで運んでいるという情報を聞いた。

その情報を信用したわけではなかったが、もうそれを頼りに行ってみるしかない。

そう、また同じ道をダッシュで戻るのだ。。

 

 

限界まで走りぬき、次の街まで着いたが、赤いズボンなんて誰一人いない。

バッグパックを運び待ってくれていたガイドにお礼をいって、運任せでさらに次の街まで走った。

ふたたび尋ねまわると、ポーターの一人がおもむろにバッグからカメラを取り出した。

 

 

「そう!そうそう!!!これこれ!!!!!!」

 

 

赤いズボンではなかったが、奇跡的に取り戻すことができた。

盗まれると疑っていた自分が恥ずかしい。

20歳ぐらいの素朴で穏やかそうな青年だった。

もし、他の人が見つけていたら失っていたかもしれない。

そうだ、恩返しをしなければ。

 

 

「 飯でも食べないか? 何か飲み物いるか? 」

 

 

彼は遠慮がちに照れながら、顔の前で手を振った。

どうにも受け取ってもらわないと気が収まらない僕は、コーラとチョコを買って、

持っていた日本の写真とともに渡した。

あまり英語は通じてないみたいだ、僕は必死に手を合わせて有難う、有難うと頭を下げた。

 

 

もしあのカメラを失っていたら、旅後にやろうと思っていた写真展も無かったかもしれない。

その日は、疲れ果ててしまった。

 

 


 

 

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朝起きると、ヒマラヤの大渓谷の先に、顔を出す雪山が朝陽に照らされていて美しい。

持ってきた三脚を立てて、温かいホットミルクを飲みながら、シャッターを切る。

あの麓にいたと思うと、遠い昔のように感じた。

 

 

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山の天辺から射し込む光のグラデーションは、幻想的で見とれる。

 

 

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お?

 

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ん?

 

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ぎゃあああああ(メェーメェー×100)

 

 

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大自然に住む、74歳のおばあちゃんと、その娘さん。

 

 

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最終日

 

 

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朝はいつも、爽快な天気だ。

 

 

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宿の調理場

 

 

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子供たちの、「とうせんぼ」 攻撃。

勝手に歌って踊って、お金を請求し、払わないと通さないという可愛らしくない。。

流行りかしらないが、5回ほどかいくぐった。

ある場所では、みんなで手をつなぎ道をとうせんぼしていたのだが

突然後ろに回り込まれ、円になって囲まれてしまった。

意表をついた攻撃に、僕は笑った。どうしようもなく、コインを数枚渡して逃げたが。

 

 

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もうすぐ、トレッキングも終わりだ。

この1週間は、本当に素晴らしい経験だった。

強烈な感動体験を通して、自分の人生の中で “感動” というものが絶対的なものになった気がする。

明らかに山を登る前と、後では何かが変わったのだ。

 

 

何はともあれ、旅はまだ長い。

ここで出した答えも、感じたことも、世界中の景色と共にきっとまた変化していくのだろう。

まだこの先に、心が震えるような感動がいくつも待っているかと思うと、やはり旅は良いものだな。

やっぱり、旅が好きだな。

 

 

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あの涙の景色は、感動の景色たちは、一生忘れることなく心身ともに染み込んでいるであろう。

 

 

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今日も、神聖なヒマラヤはそこに在って、旅人たちを感動させているのであろう。

人間とは、果てしなく小さな存在なんだと、思い知らせているのであろう。

しかし、銀河に浮かぶ塵の中にもまた、宇宙が広がっているのかもしれない。

 

 

まだまだ、旅は始まったばかりだった。

実際、いくつもの感動が待っていたのだから。

 

 

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癒しの街ポカラに辿り着き、幸せな休息を数日とった。

そして、東南アジア最後の街カトマンズから、いよいよ中東イランへ入っていくことになる。

ここで僕の旅を大きく変えた、ある事件が起こるのだ――。

次回

『  旅を大きく変えたイラン盗難事件。

それでも、イランが大好きだ。  』

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世界70ヵ国以上を旅しながら絶景を撮影するビデオグラファー (ウユニ1ヵ月撮影 / 南極 / 映像出版 / 世界一周 / 自転車日本一周 / ドローン / タイムラプス / 4K ) 日本では主にウェディング映像を撮影するカメラマン

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