絶景ビデオグラファーHENMI

【前編】 感動のヒマラヤトレッキング ~ 神聖なる領域 ~

ヒマラヤトレッキング

  

         

 

 


 

~プロローグ~

癒しの街ポカラを拠点に

遂にヒマラヤトレッキングへ

壮大なるヒマラヤの大自然の中

1人孤独に歩き続ける

そして、世界一周の旅で最も感動した景色とは

(前記事: 壮大なヒマラヤ山脈を望む、癒しの街ポカラ ~ ネパール ~

 


 

 

遂に、ヒマラヤトレッキング出発の日が来た。

7日間をかけて、じっくりヒマラヤの大自然を堪能するのだ。

まさか、涙が零れ落ちるほどの壮大な景色に出逢えるとは――。

 

 

早朝、外に出ると5感が瞬間に目を覚ますような、肌寒い空気と爽快な空

最低限の荷物を詰めたバッグパックを背負い

ポカラから、トレッキングのスタート地点ナヤプル(1037m)まで向かった。

 

 

 

 

ここから、アンナプルナベースキャンプまで(4130mまで)登るから、ここから3000m以上登ることになる。

通称ABCトレッキングと呼ばれる、ヒマラヤで最も人気の登山コースだ。

朝晩はかなり冷え込むが、日中は日差しが強く少し動けば、半袖半ズボンで丁度良い。

正直、1人でのトレッキングに不安を感じていたが、登山口に入ると登山客がたくさんいて安心した。

 

 

いっそ1人ならば、この1週間のトレッキングのなかでとことん自分自身と向き合うことにしよう。

ちょうど良いタイミングだとなんとなく思っていた。

若干、修行のような感覚で登ろうとしていたのかもしれない。

 

 

強引ではあるが、トレッキングを終えるまでに “ある答え” を出そうと思いついた。

なぜそう思ったかと言えば、自分の旅後の未来に焦りがあったのだろう、

旅後の自分が何に向かうかこの1週間で決めようと思った。

東南アジア最後の国、そして旅の中盤という時の流れもその思いを後押しをしたんだとおもう。

荘厳なる大自然の中で、孤独と対峙することから何かが生まれてくると思ったのだ。

 

 

 

 

11月、トレッキングのベストシーズン。広大な棚田は、鮮やかな黄緑色に染まっている。

 

 

 

 

 

 

トレッキングコース沿いにある小さな村に住む人たちは、旅行者慣れしているもので

写真を撮ると、チョコレート、キャンディとせまってくる。

 

 

 

 

 

 

それでも、山に住む人間は素朴だ。

 

 

 

 

 

 

なんて大きな棚田だろう。

こんな山奥にも、人が住み営んでいるということに驚く。

 

 

初日で標高がまだそれほど高くないこともあり、余裕を持って飽きることのない景色に感動しながら

一歩ずつ前に進む。

山を登るのは、好きだ。大体、自転車で日本一周するほどのドMが、山登りを嫌いなわけがない。

感動を求めて、意味もなく自転車を漕ぎ続けられるように、世界一周の旅をするように、

山を登ることも同じ動機のようなものだと思う。

 

 

意外と道は単純で、1人でも全く問題無さそうである。

少しでも不安なときは、ほかの登山者が来るまで待ちぼうけをして、ルートを確認した。

 

 

午後3時ごろには、たどり着いた村の宿を探す。

夜の登山は真っ暗で危険だから、朝早くに起きて、どれほど登れるかがトレッキングの鍵だ。

陽が暮れる前に、簡素な作りの宿の冷たいシャワーに震えながら、今日の汗を流す。

これ以上標高の高いところで、水シャワーを浴びたら寒くて風邪をひきそうだ。

すでに夜の気温が、持ってきたありったけの服を着ても寒いとなると、この先が少し不安である。

 

 


 

 

昨日は昼過ぎから雲が出ていて気付かなかったが、朝起きて外を眺めると

ごつい雪山が朝陽に照らされ顔を出していた。

 

 

 

そこにあるだけで、圧倒的な存在感を醸し出している。

自分が果てしなく小さい存在に思えてきた。

実際、そうなのだ。これほどまでの自然に囲まれると、いかに儚い存在か思い知らされる。

まさに神々が住まう神聖な領域に足を踏み入れようとしているかのようだ。

 

「アンナプルナ」とは、サンスクリット語で、「豊穣の女神(ヒンドゥー教の女神)」という意味らしい。

エベレスト(8848m)とはまた違った山群で、最高で8091m

「ヒマラヤ」の、「ヒマ」は「雪」、「ラヤ」は「住みか」で、「雪の住みか」という意味。

神の名をそのまま、山に名付けるのも、わからないでもない美しさを感じる。

 

 

大自然の凄みと恐れを感じながらも、ちっぽけな人間がそこに向かっていくことが不思議な気分だ。

アリがゾウに突っ込んでいくような気分である。

まだまだ先は長そうだ。

 

 

 

 

朝は、ヒマラヤの山中にいる実感を味わいながら、暖かいミルクティーを飲むのが贅沢な時間。

 

 

 

 

朝のトレッキングは、空気がおいしく、足取りも軽快である。

数千メートルの山を越えて昇ってくる朝陽はとても眩しい。陽が射すと朝から昼に

一転するように気温が変わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

ポケットに忍ばせてある、小さな手帳とペン。

トレッキングをしながら、ずっと考えていた。

旅を終えた後はどうやって生きていこうかと。

そして、残り半年以上ある旅は、どんな旅にしようかと。

その自分の思いの破片を感じるたびに、足を止めて、ペンを走らせる。

1人でのトレッキングにして良かったと思った。自由奔放なトレッキングだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アップダウンを繰り返しながらおおよそ3000m地点。空気も若干薄く感じてきた。

思ったよりも筋肉痛はひどくないが、バッグパックを背負う肩が少し疲れる。

 

 

 

 

宿に着いたら、寝るまではかなり時間がある。

街で買ったぼろいノートブックに、旅記を書き綴ってゆく。

それは、ヒマラヤトレッキングだけではなく、記憶を辿って自転車日本一周の旅から。

旅後、自分の旅をまとめて本を作りたいと思っているからだ。

壮大な異国の景色を眺めながら、日本の景色を思い浮かべてペンを走らせる。

面白いもので、見ている景色が違うと、文章も変わってくるように思う。

 

 

このまま順調に行けば、明日、到着地点(ABC)に最も近い村に宿泊。

その翌日には、ABCに辿り着けそうだ。

まさか、涙が流れるほどの感動の景色が待っているとは・・・

 

次回

『  【 中編 】 感動のヒマラヤトレッキング ~ 感動を超えた涙の景色 ~ 』