“ 今の自分にしかできない ”旅のなかでの感情や葛藤は、人生の中でとても貴重な経験である。
実際に旅しながら書いた日記の言葉をもとに、忘れたくない旅の感情を記す。
世界中を旅しながら、そのとき感じたことを、そのまま旅日記シリーズ。
No.1 『井の中の旅蛙、大海を知らず?』
残された旅は、どんな旅にしていこうか。
思い描いた旅を、自分のやりたい旅をできているんだろうか。
旅を、楽しめているだろうか――。
旅の半分をむかえたころから、そんな思いが脳内で右往左往。
充分に楽しめてはいたが、正直満足はしていなかった。
せっかく、いろんな世界を見て、稀有な経験をしているのに
今の自分には何かが足りない。
貪欲さだろうか? ただの、慣れからくる感情だろうか?
今まで盲信して旅の道を突き進み、ここまで来た。
もう、ここまで来てしまったのだ。そして、盲信の破片が剥がれ始め
焦りが芽生えてくる。
この旅は、もう二度と無い瞬間の連続だということを切に感じる。
この車窓から流れるように過ぎ去る風景、街のなんともない景色たちも、もう見ることはないかもしれない。
この旅のなかで出逢ったたくさんの人々とも、一生逢えない人がほとんどだろう。
その中で、 僕が感じている葛藤や感情、感動が、“今” しか感じられないものだという意識が強くなっていく。
きっと、今とは違うときに同じ場所を訪れても、感じることは違うだろう。
そう思うと、この小さき自分の人生ながらも、なんて貴重な日々を過ごしていて、いろんな感情を味わい
贅沢な感動を繰り返しているのだろうかと思う。
むしろ、「一期一会 」 だからこそ、出逢いというのは不思議で面白いものなのかもしれない。
見知らぬ土地で感じる、自分自身との対峙もまた一期一会。
それと同じように、この旅自体も、今の自分にしかできないたった1つの旅。
当たり前だが、人生だって、この旅だって、二度と無い。
そこに悲観は無いが、「今」が「今」しかないことが、旅のなかではとても不思議に感じる。
人生が1回だからこそ旅にでようと思って、感動を繰り返す旅の中で
その瞬間を味わい、1回きりの人生もまた1つの旅だなと旅は教えてくれる。
学ぼうとしてるのではない。勝手に身についてしまっているのだ。
だからこそ、「今」 本当に望んだ旅(人生)が出来てるかどうか、妙に不安になる。
“ 夢 ” と謳い叶えている念願の旅は、これだろうか。と何度も思う。
世界一周というものを夢とし、そこに執着していることを自分でもわかっている。
もちろんそれを達成することは嬉しいし、最後まで何があってもやる覚悟だが、ゴールはそこではない。
むしろ出発した時点で、その世界一周という夢はほぼゴールしている気さえする。
自転車日本一周もそうだったが、相当過酷な旅を選択しない限り、
一番覚悟する瞬間は、「旅に出る」 という覚悟を決めるときだから。
世界一周というのは、確かに僕にとって挑戦だった。
世界が見たい。何か、自分自身に挑戦を含めて世界を見たかった。
でも、スタートして半年も経てば、それはもう大して難しくないことも見えてくる。
だから、 「今」 自分が望んでいる旅ができているかどうか。
何かに、挑戦できているのか、どうか。
次のゴールを見据えてそれに進むべきだ。
ゴールがなくたって、何かに挑戦的であるべきだ。
きっと大学を卒業して就職もせず旅に出た、という焦りを意識せずとも感じているからだろう。
そんな葛藤を繰り返す。
迷路だとわかりながら猪突猛進、見事に迷子になっている自分は嫌いではないが。
旅というのは、ただ純粋に楽しければ、それでいいのかもしれない。
目的だって、あっても無くてもいい。
世界一周だって、そうでなくてもいい。
ただ、自分がやりたい旅を、本当にできているか、どうかの問題である。
無論、今、できていないから、こんな葛藤があるのである。
旅に出たことは後悔は何一つ感じていないし、本当にこのタイミングで出て良かったと思う。
ただ、もっと、もっと旅のなかで何かできるんじゃないかと憂いている。
今はもう少し、旅の中で、冒険がしたい。
自分自身で、冒険と呼べるような、旅がしたい。
と感じている。感じてしまっている。
異国を感じないヨーロッパだからか。
急いだ旅をしているからだろうか。
旅のあとの焦燥感だろうか。
終わりがちらつくと、冒険したくなるのは何でだろう。
ふと自分の人生が限りある命だと想い、旅に出たい、いろんな世界を見たいと思ったように
旅の終わりがちらつくと、旅の中で冒険したくなるんだ。
本能が蘇るのかもしれない。
もっと感動したいという欲が。
人生は、旅だ。
なんて、うまく言い切れないけども、確かに似ている。
旅を重ねるごとに、そう感じている。
感動を重ねるごとに、旅と人生を重ねているのかもしれない。
といっても、まだ半年はある。一体旅を終えたときに、何を感じて何が見えているのだろう。
いつだって、旅はこれからである。
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