井の中の旅蛙、大海を知らず?

 

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“ 今の自分にしかできない” 二度と無い旅のなかでの

感情や葛藤は、人生の中でとても貴重で、贅沢な経験である。

 

実際に旅しながら書いた日記の言葉をもとに、忘れたくない旅の感情を記す。

世界中を旅しながら、そのときリアルに感じたことを、そのまま旅日記シリーズ。

(前記事:秘境の国アルバニアの匂いと、人差し指の第一関節。 ~ 欧州の東南アジアと呼ばれる謎の異国 ~

 


 

 

もしかして、蛙って僕のことかもしれない。

旅のなかでふと思った。

 

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 ( 日記を書いたアルバニアで撮影したときの写真)

 

 

『井の中の蛙、大海を知らず』

 

 

世界中を旅しているのに、もしかして自分は井の中の蛙かもしれない。

なんて思うのは、きっと僕ぐらいだろう。

 

 

未知の大海を発見したのであれば、それを見たことがない蛙たちにも、

こんな世界があったぞ!とその感動を伝えたいと思うのは普通のことだ。

世界を旅した人が、伝えたい気持ちを強く持つのも当然で僕自身もそうである。

 

 

が、実は逆なんじゃないかと、ふと思うときがある。

 

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「大海を見つけたのは、ただの一時的な錯覚なんじゃないか。」

 

「もしかして、旅をしている自分のほうが、狭い井戸の中なんじゃないか。」

 

 

なぜ、そんなことを思ってしまうのだろう。

「旅」 から 「旅行」 になってきたと感じはじめた東欧あたりからだ。

忙しく快適に観光をしている自分に、憂鬱を感じる。

もう旅中盤なのに、旅後の未来が蜃気楼のようにモヤモヤとしか見えず、焦燥を感じているのも、ある。

たまに僕は思うのだ。「旅」 というものに、執着しすぎているように思える自分がいる。

それだけ夢中になれているのだろうが、一体その先は何だろうかと思う。

 

 

もう、長いこと旅をしている。

大学を卒業して、1年間日本一周して、そしてもう1年間をかけて世界一周の旅路。

 

 

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一体、旅を終え、帰国したときの自分に何ができるというのだろうか。

 

 

そんなことを考えていると、まわりの人と自分を比較し始めてしまう。

みんなは就職して仕事をしているのに、

一方、僕はまったく違う道に進んで、今は少しの憂鬱を感じながら忙しなく世界中を旅をしている。

目的の核も無く、彷徨っている。

夢の世界一周?

 

 

そんなことを妄想して劣等を感じているときに、ふと思うのだ。

 

 

「 井の中の蛙は、俺なんじゃないか?」

 

 

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自分が求めている 「旅」 を出来ていないときに、そういった憂愁を感じてしまうのである。

常にそんなことを思って旅をしているわけではない。

ふと、長旅の隙間に隠れた不安の影が顔を出すのである。

 

 

わかっている。この旅は自分自身でやりたいと思って、選んだ道。

誰に何と言われようと、自身への挑戦でもあるし、

自ら描いた夢で、この程度の不安や葛藤も覚悟の上だ。

“今”  このたった1回の小さな人生のなかで、いろんな世界を見たいのだ。

 

“今” 見たいのだ。

 

だから今は、それに突き進むのみで、そんなことを考えても仕様がない。

 

 

 

わかっているつもりである。

大海原を駆け回っているのに、井の中だという幻想を抱いてしまっていることも

その思いの通り、いろんな世界を、あらゆる感動を

贅沢すぎるほどに、旅を通して味わっていることは間違いない。

 

 

こんなときこそ、前を向かないと。

不思議なもので、前を向かなければ何事も前には進まない、ということを旅を通じて体が覚えている。

どうしようもないことは、どうしようもない。前を向かなければ、前には進まないのである。

その旅特有の前向きさは、旅で味わった感動の大きさに比例しているのかもしれない。

きっとその前向きさは、非日常の旅のあとも、日常のなかで旅をする、大切な芽だ。

旅を終えても前に進み続けなければ、井の中に逆戻りしてしまうなんて、誰が知っていようか。

大海を泳いでいると錯覚し続けるオタマジャクシになってしまうかもしれない。

 

 

とにかく、今はこの世界をもっと見たい。

もっと感動の溢れる旅をしたい。

冒険と呼べるような、旅をしたい。

 

 

唯一無二の自分だけの旅、一度きりの人生。

今しか見えない風景、今しか感じることのできない自問、その瞬間しか出逢えない奇跡

こんなどうしようもない葛藤も、この旅の中でしか味わえない貴重な経験である。

 

 

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そう思うと、井の蛙も悪くない。

そもそも、始めから井も大海もくそも無い。

 

 

こうなったら、大海を越えて、自分の知らない世界をもっと、もっと見てやろう。

地平線のずっと先を目指す貪欲な旅蛙だ。

大海の旅蛙は、常識知らず。どこまでも我武者羅に、突き進むのである。

 

 

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体が椅子に溶けてしまいそうに感じる長距離バスに揺られながら、こんな日記を書いていた。

そういえば、ミャンマーで食べた蛙カレー、鶏肉みたいで美味しかったな。

 

 

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